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  おいで


      おいで


 
  こわれた せかい
 


     おいで


  おいで



 ぼくは きみを



 

まっていたの

待っていた…

僕を…?



君は…一体――――

「誰だッ!?」

殺気立った声


 
ハッとして振り返ると、青い瞳の彼…ニヴァルトがいた


 
「あれ…君は……」

 
僕を見た途端、彼は剣を降ろし、普通の青年になった

…今、なんだろう…


初めて彼を見たときとはまた違う
憎悪のこもった感情を感じた



「って……え、泣いてる?」

「へ?」

「や、涙、流してるから…」


…涙?

あぁこの流れている……これが涙か…


「ハッ!ごご、ごめん!!」

「え?なに?」

「こういうの、触れられたくないこともあるよな!俺、鈍感で…っ!ごめんなさい!」


……えっと…


「ティリスにもデリカシーを持てってよく怒られてたのに…っホントっ…」

焦って捲くし立てる彼についていけなくて只聞いていることしか出来なかった


「…あッ!そうだ!!」


何かを閃いたのか、彼は僕の腕を掴んで……


「向こうに井戸があるから!顔洗おう!な!案内するし!」



大変だ、よくわからないけれどこの子は暴走をしている…


あー…そんな変な体制で向こうを向いたら…



「いぎゃっ!」

顔から地面への熱いキス…


…なんてロマンチックの欠片もないけれど


彼の一連の動きが、なんだかおかしくて…




「プフッ!」



 
やだな、変な吹き出し方しちゃったよ

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