魔女へのご機嫌取りも忘れてあの世界へ足を運ぶ
幾度目かの来訪
君の宿命も例外なく――
「ニアはいつも一人だね?」
「なっ!なかなかグサッとくること言うな…」
「あ、ごめん…?」
「はは、いいよ!でも仲間ならちゃんといるよ!生きているのは…もうあと一人になっちゃったけどな」
「………歌をうたっていた子?」
「あれ、ティリスに会ったことあるのか?」
ティリス…
そうだ、あの歌を聴いた日にも、同じ名前を言っていた
「ううん、歌を聴いただけ」
「そっか。………綺麗な歌だよな…」
「そうだね……でも」
悲しい歌だ…
「ゼロ?」
…………
「ねぇニア、君はどうして敵も味方も殺さないなんて誓いを立てているの?」
「え、唐突だなぁ」
「………あ、ごめん。気になって」
脳裏にこびりついている…
初めて彼を見た瞬間
殺すなと…ヒトに、自分に誓いを立てて闘いへ赴く姿
突拍子なこと言っちゃったな
…会話には慣れた気でいたんだけど、やっぱりまだ難しいな
「ん~…誓いなんてそんな大袈裟なもんじゃないし…何も、本当に殺さずに終わらせようなんて思っていないよ」
「"殺すな、だけど自分が死にそうになったらなんとしても助かれ"…仲間にはそう言っていたんだ…」
「それって、危なくなったら殺しても良いってこと?」
「そっ、おかしな話だよな。矛盾だらけで」
「まぁ…仲間に言っているようで、本当は自分に言い聞かせていたんだけど…」
「俺さ……そうでもしないと…」
「……しないと…?」
みんな殺してしまいそうなんだ
僕にもアリサに負けず、妙な力があるみたいで、
この世界の理を随分と理解してしまった…
それはもちろん