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勇者と魔王は戦い続ける

彼らの意思と反して、運命は繰り返す

 

御伽噺のような、実にくだらない戯曲

 

観客は狂った神様ただ独り

 

操り人形となった勇者と魔王は

共に狂って踊るだけ

憎悪が重なり世界がなくなるその日まで
 

勇者が狂うのは、最期を迎える合図

暗い暗い森を見つめて、空虚に呟く

 

 

 

「ゼロ…」

 

 

 

 

「俺は明日、魔王のところに行くよ」


「ティリスが死んでしまったよ」

「彼女の歌だけが、最後の希望だったんだけど…」
 

だけど

 

 

 

彼の瞳には、まだ光が滲んでいた

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