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子どもだ…


1人目の人形と遊んでいたのか

僕に気付いて目をぱちくりとさせている

 

 

帰るとまた一人、動く住人が増えていた

 

 

 

…やっぱり

違和感が、消えない




人形が増えるたびに、妙な感覚が強くなる




――子どもが こちらへ来る

たどたどしい足取りで、僕の方へ手を伸ばした

その手に…僕の手を重ねる

 


 




「ゼロ……帰っていたのね」

 

 

後ろからリンと鈴を転がしたような声がする

いつもと変わらぬ魔女の声


だけど今は…その声すらも……

「あら、その子と会ったの。…聞いてゼロ、その子ね…成長することができるの」

「さすがに人間と同じ速度で、とはいかないけれど…でもこれはもうただの動く人形なんかじゃないわ!」

 

「ねぇ、凄いでしょうゼロ?私…ここまで出来るようになったの!」


無邪気に笑うアリサ…

 


「私、もう命を創れるようになったも同然よね」

 

「今まで本当にありがとう。こんなにも上手くいったのは貴方のお陰よ!」
 

「ゼロ…愛しいゼロ…。もうどこにも行かなくていいわ」

独り言のように淡々と話す彼女――

 


君はその愛らしい笑みで

どれだけの人を……
 


「ねぇ、ここにいて。どこにもいかないで。ずっとずっと私の側で…」

 

 

――お人形のようにしていて

 

嗚呼、なんて愚かだ

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